世界観


●度朔境(どさくきょう)
作中でもののけ達が住んでいる場所。
度朔境は、東の海の果てにある度朔山にある小国である。

昔は、もののけ達も人間たちと同じ世界で暮らしていた。
しかし、時代が進むにつれて、人間がどんどん増えていった。
そのせいで、もののけ達はどんどん住み心地が悪くなっていった。
困ったもののけ達は、東の竜王になんとかしてくれないかとお願いをすることにした。

もののけ達を代表して、天狐族と天狗族の長が、東の竜王の元に赴いた。
もののけ達の境遇に同情した竜王は、
東海の果てにある度朔山(どさくさん)を、もののけ達のために与えてくれた。
喜んだもののけ達は竜王に感謝して、度朔境の王様になってくれとお願いした。
竜王は快くそれを引き受けた。

もののけ達のうち、天狐族と天狗族が、最初に度朔境に移り住んだ。
天狐と天狗の一族たちは、度朔山をもののけ達が暮らしやすいように整備したり、
引っ越してくるもののけ達のサポートをした。

もののけ達は、千年くらい前から少しずつ移動しはじめた。
まだ人間たちがもののけ達を忘れずにいてくれた頃は、人と離れたがらないもののけ達も多かった。
しかし、人間たちはどんどんもののけの存在を忘れていった。
そのため、もののけ達は今から二百年ほど前に、一斉に引っ越してしまった。

今では、人間たちと一緒に暮らすもののけ達は、ごくわずかである。
しかし、人間たちの世界で生まれるもののけ達がいなくなったわけではない。
人間たちに囲まれて不自由な思いをしているもののけ達を迎えにいくために、
もののけ達は、度朔境と人間たちの世界をつなげるトンネルを用意した。
山の奥、池の底、霧の向こう、井戸の底、古い橋、そんな場所が、もののけの世界とつながっている。


●水密都(すいみつのみやこ)
度朔境の都。竜王が治める。
物語のはじめに、このはが母親と一緒に住んでいるのは、ここ。
水密都の中央には巨大な湖があり、竜王の住む水晶宮は、その底にある。
湖は塩湖であり、外海とつながっている。


●天狐について
天狐族とは、狐の尻尾と耳を持つ、もののけの一種族である。
竜王のいる水密都(すいみつのみやこ)に大半が暮らしている。
天狐の長は、度朔境行時の功績もあり、竜王の右腕として仕えている。
生粋のエリート族である。

修行を積んだ天狐は、九つの尻尾と銀色の体毛を持つ。
名前も、他の天狐と区別するために、
九重(ここのえ)あるいは白霞(びゃっか)の者と呼ばれ尊敬される。
白霞の位の天狐たちは、竜王の住まう水晶宮に勤務している。

天狐族の長は、碧霞元君(へきかげんくん)と呼ばれる、千年以上を生きる九尾の狐である。
碧霞元君(へきかげんくん)の名は、
天狐の守り神である泰山娘娘(たいざんじょうじょう)の別名である。
度朔境が出来たときに、天狐族の長は、娘娘からその名をいただいた。

ちなみに、このはの母親の名前は檳白香(びんびゃっこう)といい、その碧霞元君に仕えている。
主な仕事は手紙を書くこと。都で随一の美筆だと言われている。

天狐は、殿上するときに名前をもらう。そのときにもらう名前は、大陸風の名前。
幼名は基本的に和名。ひらがな多し。

このはの父親は仕事で出張中。家を空けているときの方が多い。
人間界にいるもののけ達の、お迎えや悩み相談をしている。


●天狐の修行について
生まれたばかりの天狐の尻尾は一本しかなく、体毛の色も様々である。
薄い色の体毛の方が、潜在能力が高いとされている。
天狐たちは幼い頃から修行に励み、天狐の特殊能力をひとつずつ会得していく。
能力をひとつ会得する毎に、尻尾も一本ずつ増えていく。
天狐族の成人は15歳である。その年から、親元を離れての修行がはじまる。
修行の地は自由に選ぶことができる。
メジャーな修行場は、青丘之山(せいきゅうのやま)である。
青丘之山には、修行中の天狐たちを集める学校のようなものも存在する。
15歳になるまでに、3つ目の能力(鳥と話す)まで会得してあるのが平均的。
ちなみに、このはは2つ目の能力(狐火)までしか会得していない。
ちょっぴり落ちこぼれである。


●天狐族の特殊能力一覧
(1)黒霞<こくか>の位:変化
(2)朱霞<しゅか>の位:狐火
(3)橙霞<とうか>の位:鳥と話す
(4)黄霞<おうか>の位:人心を惑わす(魅了)
(5)緑霞<りょっか>の位:眠らせる
(6)青霞<せいか>の位:空を飛ぶ
(7)藍霞<らんか>の位:遠耳(遠くのものが良く聞こえる)
(8)紫霞<しか>の位:千里眼
(9)白霞<びゃっか>の位:雷を鳴らす

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